本当にほしい学生はどこにいるのか。
リファラル採用の意味を伝えよう。
前回に引き続き、学生の4割「通年採用望まない」 採用の自由化に不安就職情報サイト大学生アンケート(下)(NIKKEI STYLE10/11)の記事、データを参考に、採用ブランディング的な観点から21採用を考察していきます。
リファラル採用を約6割の学生が支持していることは、多くの企業にとって大きな後押しになるはずです。自社のOB・OGを駆使した採用を行うことで「動けば採用できる」ことを実感できますし、何よりも人事部以外に全社的に採用への関心度が高まることは、人事の負担を軽減することにもなり、さらにはリアルに現場の状況が伝わりやすくもなります。また、理念浸透の側面からしても多くの社員が採用活動に参加することは望ましいと考えられます。しかし、そこで「コンセプト」を設定し、共有していないと、社員の勝手な行動を促進し、企業自体のイメージダウンになりかねない言動や行動につながりかねません。最悪なのは就活セクハラが起こってしまうこと。コンセプト以前の倫理的な問題ですので、多くの人たちが動くときのリスクヘッジも行っておかなければなりません。
いろんな場所で言及していますが、採用困難な企業は、経験則的な話になりますが、10~20名ほど年間採用したい企業。伸び盛りですが、知名度が低いのです。そういった企業は、学生2〜3名に1名くらい、リクルーター制を設けることで、より採用角度を上げることにもなります。ただ重要なのは、そういう企業は現場がとても忙しいので、人事部と現場だけのコンセンサスでは無理があります。経営者の決断と呼びかけが重要です。
また、直接接点が重要ということで、やみくもにイベントに出過ぎないこともこれからは大切です。大きすぎるイベントは、結局ナビと同じ構造で、知名度の高い企業にしか学生が集まりません。自分たちの本当に欲しい「ペルソナ」を設定し、その人に近い人がいるイベントに注力することが効率的で、自分たちの労力も集中させることができます。
少し話がそれますが、学生の4割が「リファラル採用」に反対とのことですが、社会人になれば、人脈こそ宝です。それが自明だから何も言わずに企業もリファラル採用をやっているわけですが、学生は就職活動を公平か、不公平かで見るフシがあります。つまり大学受験や試験の延長で就職活動を見ているのです。これは社会人になって、価値観が転換しないとわからないことですが、このデータを見る限り、「なぜリファラル採用や直接接点を重視しているのか」という、自社の考えをしっかりと表明することも重要でしょう。それが学生に早めに「価値観の転換」を行わせ、社会人になる準備にもなるからです。
通年採用に関しては、文字通りに読み解くなら、もうすでに殆どの会社は通年で採用活動を行っています。これが学年を超え、さらには既卒にまで広がり、中途と新卒に関して境がどこまでなくなるのか、ということの焦点になると思います。応募者にも企業にもチャンスが広がりますが、企業側の労力はそれだけ増すことにもなります。ますます人事部の責任と負担、権限が大きくなっていくでしょう。ここは経営者がいつゴーサインを出すか、にかかってます。
最後に。この記事は、「就職活動が複雑化し、情報の非対称性が超格差社会を生むかもしれない」と警鐘を鳴らしていますが、それはナンセンス。なぜなら情報はそこかしこに溢れており、自分で取りに行こうとすればいくらでもいけるのが今の日本。対策はいくらでも講じられるのです。何もせず、流されれた結果、格差を感じるのであれば、それは自身の責任。そこを学生たちに教えることも、大人である私たちの責任なのかもしれません。
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