この事業が広がると、世の中は、どう変わるか。
ブランド論と組織論双方から言えること。
ブランドのビジョンとは、企業であればその存在目的、商品であれば、なぜ商品が存在するのか、です。こう考えると、なかなか難しく、思考がぐるぐる回ってしまう人が多いのではないでしょうか。
しかし、実はもっと簡単に考えられる方法があります。今、自分がやっている事業が広がっていくと、世の中がどう変わるか?と問いかけて想像してみてください。いや、どう変えたいか、でもいいと思います。そうするとちょっと考えやすくなりませんか。その答えが事業の目的になることが多いんですね。もちろん、想像したことがちゃんと「目的」になっているか確かめ算は必要です。
では、そもそもなぜブランドにビジョンが必要なのか。これは大きく2方向から回答できます。
ひとつはブランドの理論から。
ブランドにとってビジョンは、「顧客にどう見えて欲しいか」を自ら規定するものです。これを決めないと、調査などで市場から答えを探すことになりますので、商品はコモディティ化の道をたどります。世の中のほとんどの商品は残念ながら、こうなっています。
ビジョンがなければ、表現で差別化の道になります。表現だけで差別化しても、商品そのものとしての差別化にはなっていないので、リピート使用につながらなかったりで、ログセラー・ブランドにはなりにくいのです。ブランド・エクイティでいうところの、知覚品質とロイヤリティが増加しないということになります。
もう一つは、組織論的な観点から。かの有名な書籍「ビジョナリー・カンパニー」では、ワールドワイドに成長を続けるビジョナリー・カンパニーには、理念がかならずあると記されています。
ビジョナリー・カンパニーであることの定義は、
・業界で卓越している見識のある経営者や企業幹部の間で広く尊敬されている
・社会に消えることのない足跡を残している
・CEOが世代交代している
・50年以上の歴史がある
とされています。
また、
「ビジョンがない企業よりも、ビジョンの達成を第一に置く企業の方が、最終的には大きな成長を遂げる」
としてディズニーとコロンビア・ピクチャーズの例をあげて説明されています。理念のなかったコロンビア・ピクチャーズは、やがて買収されてしまった、という話です。(興味のある方はぜひ読まれることをオススメします)
ビジョナリー・カンパニーにかかれていることは、とってもアタリマエのことのように思えますが、膨大な調査のうえでこれを定義できたことは、とても素晴らしいと思います。
つまり、目先の利益だけを追いたいのなら、ビジョンなどいらないのです。大きく成長したいと思えば、多くのファンを得られないといけません。そして、ファンを得るためには、ブランドを規定するビジョンが必要なのです。
なんだか、頭の中がぐるぐるする議論になりますが、「何のためにブランド構築するんだっけ」と思ってしまった時に、参考になればと思います。
文:BRAND THINKING編集部
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