採用にブランド論を掛け合わせることで劇的に変わる。
採用の成功とは、本当に欲しい人材がちゃんと入社してくれることと定義します。しかし今、ご存知のように採用市場が激化しています。欲しい人材が採用できない。欲しい人材がそもそも集まらない。欲しい人材がわからない。などなどの悩みが経営者にあると思います。
しかし、採用とブランド論など、世の中で広く言われていることではありませんから、想像がつかないかもしれません。結論から書くと、ブランド構築の手法がとても効果的ということです。そして、それらを駆使して採用を組み立てることで、劇的に採用が変わっていく会社があります。
新卒の場合、2016採用は経団連が8月から就職活動解禁としたため、それまでは「説明会に来る学生の質が上がった」「例年以上にいい学生に内定を出せた」
という採用担当者からの声も聴かれました。(そもそも人が集まらなかったという企業もあります)しかし8月末以降、超大手企業の内定出しが始まると、ひどいところでは、30名の内定学生のうち15名からお断りされるという事態もあったようです。
それを受けるかのように、2017年度採用は早期から始まりました。銀行、保険、証券などの金融系から外資系、ベンチャー系企業を中心に、インターンシップという名の早期接触が2016採用と並行して夏から始まっていたのです。2017採用はインターンシップ実施企業が多く、すでにここに人が集まらない状況も生まれました。また、2017採用は経団連が6月からの採用前倒しを宣言したことで、実質中小企業の採用活動は短くなり、ということは、2016採用より「激戦」となりました。
こうした激化する採用市場において、ブランド構築の理論をどう活用すればいいのか。ブランド構築は、流行に左右されない軸をつくることですから、周りの変化にはすこぶる強い特性があります。
ブランド論とは何か。その定義。
ブランドを定義すると、
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ブランディング=ブランド構築
ブランド構築=売れ続けるためのしくみ/採用し続けられるためのしくみ=ファンづくり
だとすると、ファンづくりとは「ファンになる要素は何か」をまずは知ること。それは以下の3つ。
1,スタンス(在り方、生き方)がある
2,憧れを抱ける
3,見た目がカッコイイ
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採用において1はその企業の理念。そして2はその企業が顧客にもたらしている価値のことを言います。つまり、採用においても自社の理念や価値観そして、
なぜ企業が存続しているのか=強みの整理が必要であると言えます。そしてこれこそが、その企業でしか言えない「強み=違い」です。
これをまず人事担当が語れ、社員が語れることがベストなのですが、ターゲットの学生ばかりを向いて、彼らがいかにも惹かれそうなことばかり言ってはいないでしょうか。
例えばその最たる例が福利厚生。最近の学生は安定志向ということで、ある程度、整っている企業は福利厚生をアピールしてしまいがちです。しかし、どんなに頑張っても大手企業には勝てませんし、(いやむしろ勝てる自信があるのならアピールポイントですが)中小企業にとって福利厚生を魅力に思って入社してもらっても、ギャップが生まれることが多いですね。
ですから、自社の強みを整理せずに、採用において「顧客思考」になりすぎるのはかなり危険なのです(これはマーケティングでも同じですが)。
また、
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3,見た目
=
(1)コミュニケーション・メディア、ツールにおけるクリエイティブ
(2)社員の行動
(1)に関してのKPIは、
・それらメディア、ツールにおけるコンセプト・内容の到達度
(2)に関してのKPIは、
・社員がどんな行動を行い、何をKPIとするのかを設定する。
(1)(2)に関して、アーカーの言う、
(a)ブランド認知を参考にKPIとしてもよい。
ただし(a)=深さ、幅、強さ、好ましさ、ユニークさのことを言う。
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と定義しました。
採用ブランド論とは何か。
まず、(1)ですが、HPと採用パンフレットを揃える会社が多いですが、同じ情報を掲載していないでしょうか。HPとパンフレットの情報を受け取る学生のキモチには当然ながら差があります。
HPの初見は説明会前。つまり会社を全体的に捉えたいのです。一方、パンフレットは説明会時。つまりもう少し突っ込んで会社のことを知りたい時。ですから同じ情報を掲載するのは無駄です。
HPは広く浅く、パンフレットは深く情報を掲載する必要があります。そのため、「しっかりつくれば」(ここ強く言います)HPは学生の集まる質をコントロールでき、パンフレットは内定の承諾まで効果を発揮します。
(2)に関しては、採用担当者だけが頑張っていませんか?ということです。採用数はある程度満たせているけど、採用の質に関してはあまりよくない、もっといい学生が欲しい、という企業にありがちなのが、採用担当者の共感度だけ高いという傾向が見られます。
これは、手前味噌の例になりますが、弊社むすび株式会社のBRAND MOTHER RECRUITIN™(BMR)の調査で見られました。
採用担当者だけが好かれている状態ですと、その担当者が異動した場合、辞めた場合、採用活動の再現性に大きな影響があります。また、学生は採用担当者と一緒に仕事することはほぼありませんので、現場とのギャップが生まれやすくなります。
つまり、採用ブランド力は、1と2を踏まえた3ー(1)+(2)で決まります。しかも特徴的なのは、採用活動は半年や1年で必ず「結果」が出ることです。では、以上のような理論を踏まえ、どのような採用設計にすれば成功するのか。そのためには採用活動特有の構造から見ておく必要があります。
※『採用を成功させるためのブランド論 実践編①〜独自の採用フロー構築』はこちらです。
文:BRAND THINKING編集部/むすび株式会社 代表取締役 深澤 了
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深澤 了 ブランディング・ディレクター/クリエイティブ・ディレクター BRAND THINKING編集長
2002年早稲田大学商学部卒。山梨日日新聞社・山梨放送グループ入社。グループの広告代理店、アドブレーン社制作局にて、CMプランナー/コピーライター。2006年株式会社パラドックスへ。企業、商品、採用領域におけるブランドの基礎づくりから、CI・VI、ネーミング、スローガン開発、各種ツール、広告制作まで一貫したブランドづくりに携わる。手掛けた企業は採用関連のみで800社以上。2015年早稲田大学ビジネス・スクール修了(MBA)。同年むすび株式会社設立。2016年12月BRAND THINKING立ち上げ。初代編集長となる。
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