大切なのは並びではない

企業理念を整理するときに、VMVやMVVという言葉が使われることがあります。
VMVは、Vision・Mission・Valueの順番で並べる考え方です。一方で、MVVはMission・Vision・Valueの順番で並べる考え方です。どちらも企業の方向性や存在意義、価値観を整理するために使われます。ただ、実際に理念を作ろうとすると、「VMVとMVVのどちらが正しいのか」で迷う会社も少なくありません。
結論から言えば、そこにとらわれすぎる必要はありません。大切なのは、言葉の順番ではなく、自社が何のために存在し、どこへ向かい、どんな価値観を大切にするのかが明確になっていることです。そして、その言葉が社員の判断や行動、顧客への価値提供、採用にきちんとつながっていることです。
この記事では、VMVとMVVの違いや、順番にこだわりすぎなくてよい理由、企業理念を考えるうえで本当に見るべきポイントを解説します。
順番にとらわれすぎると理念づくりが止まる
理念づくりでよくあるのが、言葉の定義や順番にこだわりすぎて、肝心の中身が進まなくなることです。VisionとMissionのどちらを先に置くべきか。MissionとPurposeは何が違うのか。Valueは行動指針なのか価値観なのか。こうした整理は必要ですが、そこに時間を使いすぎると、本来向き合うべき問いが後回しになります。
理念づくりで本当に考えるべきなのは、自社が何を大切にしているのかです。どんなお客様に、どんな価値を届けたいのか。会社として何を守りたいのか。社員にどんな判断をしてほしいのか。どんな未来に向かって事業を進めたいのか。こうした問いに向き合わなければ、きれいな言葉を並べても理念は機能しません。
VMVかMVVかを決めることは、理念づくりの目的ではありません。順番は、あくまで会社の考え方を整理するための型です。型に会社を合わせるのではなく、自社の考え方が伝わりやすい形を選ぶことが必要です。
理念で大切なのは言葉の整合性よりも現場で使えること
理念は、見た目の整った言葉にするだけでは意味がありません。もちろん、言葉として分かりやすく整理することは必要です。Vision、Mission、Valueがそれぞれ矛盾なくつながっていることも大切です。ただ、それ以上に大切なのは、社員が日々の仕事で使えるかどうかです。
たとえば、接客で判断に迷ったとき、営業で顧客にどう説明するか悩んだとき、採用でどんな人を迎えるべきか考えるときに、理念が判断の支えになる必要があります。言葉としてはきれいでも、社員が意味を理解できず、現場の行動に結びついていなければ、理念は飾りになってしまいます。
VMVでもMVVでも、最終的に見るべきなのは、その言葉が会社の中で生きているかどうかです。理念は、経営者が掲げるためだけのものではありません。社員が自分の仕事とつなげて考えられる状態になって、初めて組織の軸になります。
会社によってはVMVやMVVに当てはめなくてもよい
企業理念を整理するとき、必ずVMVやMVVの形にしなければならないわけではありません。会社によっては、ミッション、ビジョン、バリューという言葉よりも、社是、経営理念、行動指針、約束、信条といった表現の方が合う場合もあります。特に中小企業では、横文字のフレームに無理に当てはめるよりも、社員が理解しやすい言葉で整理した方が伝わることがあります。
理念は、かっこよく見せるためのものではありません。社員が読んだときに、自分たちの会社のことだと感じられるか。お客様に説明したときに、会社の姿勢が伝わるか。採用で伝えたときに、求職者が働く意味をイメージできるか。こうした視点の方が重要です。VMVやMVVは便利な型ですが、絶対のルールではありません。自社にとって自然な言葉で、会社の考え方が伝わるなら、その形で整理して問題ありません。
VMVかMVVかよりも自社らしい理念になっているか
最終的に見るべきなのは、VMVかMVVかではありません。その理念が、自社らしい言葉になっているかです。
どこかで見たような言葉を並べただけでは、社員の心にも顧客の記憶にも残りません。社会に貢献する、挑戦し続ける、お客様を大切にするという言葉は悪くありませんが、それだけでは自社ならではの考え方は伝わりにくいものです。
自社らしい理念にするには、経営者の想い、会社の歴史、顧客への向き合い方、社員が大切にしている行動、これまで乗り越えてきた経験などを掘り下げる必要があります。その会社だからこそ言える言葉になっているか。社員が聞いたときに、自分たちの仕事とつながるか。顧客や求職者が見たときに、会社の姿勢が伝わるか。ここまで考えられていれば、VMVでもMVVでも問題ありません。順番よりも、自社の考え方が誤解なく伝わることの方が大切です。











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