経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

理念を全うするために、プールの概念をぶっ壊す。

スタートアップのブランド論対談<ロッキンプール西川隼矢>第2回

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ロッキンプールというスタートアップ企業をご存知だろうか。元スイマーで代表の西川隼矢氏(写真左)が、「もっとプールに人と笑顔を集める」の理念のもと、つくった会社だ。現在はプールでの撮影、水中ウェディングフォト、プールアイテムの開発など、プールを中心に多岐にわたる。超独自性を持ったロッキンプールに、スタートアップのブランディングの第一人者、チカイケ秀夫氏(写真右)が迫った。

撮影:落合陽城

 

理念がなかったら、360万円も集まらなかった。

西川:会社を作る前後は、何がやりたいの?ってよく聞かれましたよね。

チカイケ:西川さんは発想がどんどん出てくるタイプ。それでいて実行力もあるから、気をつけないとブランディングとしては、イメージが拡散してしまう可能性もあると思ったんです。

西川:チカイケさんは「NO」とは絶対に言わなくて、基本背中を押しまくってくれるんだけど、絶妙にそのあたりはコントロールしてくれている気もします。

チカイケ:企業理念が決まってからここまで、ものすごいスピードで来ていますよね。

西川:カメラマンで活動し始めたときには、イベントや水泳アイテム開発もやっていた自分に対して「何がやりたいんだ?」って周りからよく言われていました。でも、「もっとプールに人と笑顔を集める」という企業理念が決まって、会社にしてからは、もう何も言われなくなりました。

チカイケ:会社という仕立ての中で、1本の軸ができて、理念と事業がつながっているからですよね。

西川:「アクアサイネージ」ということで、65インチのテレビを水槽に沈めて空を飛ぶ体験をする、というアイデアを仲間と思いついて、クラウドファンディングしたら360万円も集まった。理念が決まっていなかったら、きっとあれだけの賛同者を集めることは不可能だったと思います。

チカイケ:スイマーとしてずっとプールと向き合ってきた、西川さんならではの理念になりましたよね。

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(撮影:西川隼矢)

 

プールの概念を変えたい。

チカイケ:「ロッキン・プール」という社名も西川さんらしいですよね。

西川:あれは確か、理念が決まって、そして社名を考えていたんです。僕の中の定義で、ロックとは「自由」と「遊び心」。だから、思いついた時はとてもしっくりした感じがしました。

チカイケ:好きなことにはとことん情熱を注ぎますもんね。だから僕の役割は、ビジョンとブレないように、事業の交通整理をしていく感じ。

西川:とにかく、プールにすべての事業を集中させようとしています。そこが僕らの強み。プールしかやらない。

チカイケ:水の上でヨガができる「Poolno」の開発とか、理念を土台にして、いいぶっ飛び方しましたよね(笑)。

西川:とにかくプールの概念を変えたいんですよね。本当に25メートル必要なの?というか。

チカイケ:どういうことですか?

西川:5メートルでもいいじゃん、って思うんです。25メートルプールって維持するのとても大変なんですよ。それができなくて潰れているスイミングスクールもあるくらいで。小さなプールがたくさんあれば、例えばオンラインの予約をとれば、運営側は調整しなくてもいいわけですよね。横でバタフライやったとしても、クレーム言うおばちゃんとかもいないわけです(笑)。

チカイケ:そうすれば、若い女性もPoolnoを使って、ヨガをやれるかもしれない。

西川:ほんと、そうなんです。

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(撮影:西川隼矢)

 

水泳は競技、という固定概念を壊す。

チカイケ:プールとかスイミングクラブの市場ってのは、やっぱり縮小傾向なんですよね。

西川:そうです。今から何十年前にスイミングフィットネスブームが起きたんですが、今、ボイラーが壊れたり、プールの大規模修繕が必要だったりなど、いろんなスクールに同時多発的に起きている問題で、余力がないところは締めるしかない状態です。

チカイケ:そこに西川さんはどのようにアプローチしていこうとしているんですか。

西川:だからプールをもっと小さくしたらいいんです。プールは水の量が◯トンって制限があって、監視をつけないといけない、という規定があるんです。でも、小さなプールなら、規定上温泉になる。それならば、360度カメラで監視すればいいし、それさえも外注すれば費用を抑えることも可能です。

チカイケ:それだけ「水泳というと競技」という固定概念が業界全体にあるということですよね。

西川:水泳をどっぷりやってきた人の中には「タイムを競うだけの水泳はもうお腹いっぱい」と感じてプールか離れる人が多くいます。それだけ競技一辺倒。あと、競技年齢もどんどん上がってきているので、プールに親しむ人もどんどん減ってきている。だから、もっと自由でいいんです。起点として、プールをもっと自由にしないといけないと思うんです。

チカイケ:だからアクアサイネージやるって言って、テレビをプールに沈めちゃうんですよね。やっちゃいましょう。西川さんなら、できますよ。ホントに。

 

(第3回は2/23木曜日に公開します)

文:BRAND THINKIKNG編集部

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撮影:落合陽城

(写真左)株式会社ロッキンプール 代表取締役CEO 西川隼矢
鹿屋体育大学卒。9歳の頃から大学卒業まで水泳を続ける。アテネ五輪代表選考会出場や、200m自由形の香川県記録を10年間保持。独学で覚えたカメラで水中フォトグラファーとしても活躍。2015年、株式会社ロッキンプール設立。

(写真右)パーソナル・ベンチャー・キャピタル 代表 チカイケ秀夫
デザイナーの経験を経て、株式会社GMOで新規事業などさまざまな事業を経験。2015年よりパーソナル・ベンチャー・キャピタルの代表として活動開始。スタートアップ企業にブランディングを広めることを使命に、数多くのサポートを行っている。

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