新しい採用概念。マーケティングだけでは作れない、内部のファン化。

「人が集まらない」「すぐ辞める」「自社のファンができない」
多くの企業がこの悩みに直面しています。大企業との条件競争は限界があり、単なる母集団主義や一時的なキャンペーンでは、本当に選ばれる会社にはなれません。今必要なのは、従業員が主役となり、理念や物語、リアルな体験を軸に、採用から組織づくり、顧客づくりまで一貫してファン化を設計すること。
本記事では、「共鳴経済圏」という新しい考え方をもとに、推される会社になるための具体的な採用・組織づくりの仕掛けを解説します。
共鳴採用の回路設計
「惚れて入社し、惚れて働き、惚れて語る」
これが共鳴採用のサイクルです。採用活動は、単なる人数合わせや条件提示ではなく、「この会社で働きたい!」と思える物語と出会いをつくることから始まります。
会社の理念や想いは、スローガンやポスターだけでは伝わりません。重要なのは、候補者や新入社員が「自分ごと」として理解し、語れること。
そのためには、求人票や説明会、面接の場で理念を候補者の日常語や行動に翻訳する工夫が不可欠です。たとえば、「困難を前向きに乗り越える」という理念があれば、それが現場でどんなエピソードとして現れているのか、実際の仕事や社員の行動を通じて伝えます。
惚れを生む5つの設計要素
共鳴採用を成立させるためには、候補者が「この会社で働きたい」と心から思える理由を多面的に設計する必要があります。
・創業の物語や転機
・日常語に直した理念
・最初の5秒でいい会社と感じるデザインや見た目
・仕事や組織運営の“譲れない基準”
・現場で実感できる体験価値
これらを重ねて設計することで、「ここで働きたい」という“惚れ”が生まれます。
採用プロセスごとにも共鳴を設計することが重要です。
・求人→5秒で惹きつけるストーリーやビジュアルを重視
・面接→会社の理念と候補者の価値観が重なる部分を深掘り
・内定→「なぜこの会社で働きたいか」を本人の言葉でまとめてもらう
・入社後→創業ストーリーや現場体験を通じて、理念の実践へと落とし込む
推される仕組みを会社全体で設計する
推し活が社会現象となっている今、会社も同じく「推される理由」を全方位で設計する必要があります。推される理由は、「歴史」「理念」「デザイン」「品質」「体験価値」の5つ。
これを採用・組織・顧客体験すべてに一貫させることで、ファン化の連鎖が生まれます。
採用の現場で“推し”をつくることは、企業ブランド強化の第一歩です。たとえば、理念や歴史を深く語れる現場社員が説明会に参加したり、入社直後のオンボーディングで感動体験を設計したりすることで、新人が“自分も推される存在”であることを実感できます。
ファン化企業の共通点は「現場主義」「リアルな体験の共有」「オープンな情報発信」です。SNSやブログ、社員インタビューなど、日々の働き方や挑戦をリアルに発信することで、共感する求職者や顧客が自然に集まります。
説明会や見学会も、座学型ではなく体験型・対話型に変えていくと、入社後の定着率やロイヤルティ向上に直結します。
実践例:推し活視点での企業成長
ある地方企業では「感動体験共有会」を毎月実施。社員が業務の中で感じた小さな感動や理念を感じた瞬間を語り合う場が、社内の“推しポイント”の再発見やエンゲージメント向上につながっています。
また、採用ページやSNSでは「社員の1日」や「現場エピソード」「失敗談」までオープンに公開。リアルな現場の空気感や価値観が、求職者や顧客の“推し”心を刺激しています。
三位一体の“推し”設計が企業の未来を変える
共鳴経済圏を実現するには、「採用」「組織」「顧客づくり」のすべてで“推される体験”を設計し、従業員が主役となって発信・体現していくことが不可欠です。ファン化する採用活動と、現場主義の組織運営、共感を起点にした顧客体験。この三つの設計を一貫させることで、企業の成長サイクルは加速します。
「惚れて入社し、惚れて働き、惚れて語る」。そんな循環を生む“共鳴経済圏”づくりこそが、これからの企業経営・人材戦略の決定打となるでしょう。














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