ブランディングは顧客視点を無視できない
ブランディングは「企業側がどう見せたいか?」だけではありません。「顧客がどのように捉えているか?」も重要です。どれだけ企業側が高級なイメージをつけたくても、顧客がブランドに対して「高級感」を求めていなければ、企業と顧客のミスマッチを起こし、ブランディングは失敗に終わります。
もちろん企業側の見せたいイメージを作り出すのもブランディングの1つです。しかし、企業側目線の「4P」だけでは、企業と顧客双方が合致するイメージにはつながりません。そこで顧客視点として、「4C」の考え方が必要です。今回は4Cについて解説します。
4Pとは企業視点のフレームワーク
まずは4Pをおさらいしておきます。4Pとは、企業視点のマーケティングフレームワークです。1960年前半アメリカの経済学者『ジェローム・マッカーシー』が提唱しました。
・Product…製品
・Price…価格
・Place…流通
・Promotion…販売促進
Product(製品)とPrice(価格)で商品を生み出し、Place(流通)とPromotion(販売促進)で売れるための仕組みを構築していきます。4Pもブランディングには重要な部分です。この時点でしっかりしたテーマがなければ、まずブランディングは難しいでしょう。
4Cとは顧客視点のフレームワーク
4Cは4Pとは異なる、顧客視点のフレームワークです。4Pそれぞれの要素を顧客目線に落とし込んだもので、1990年にアメリカの広告学者『ロバート・ラウターボーン』が提唱しました。
・Customer Value…顧客にとっての価値
・Cost…顧客が負担する費用
・Convenience…顧客にとっての利便性
・Communication…顧客とのコミュニケーション
それぞれの要素は、4Pと変わりません。しかし、4Cに置き換えることで一気に顧客目線に近づけます。
・Product/Customer Value…製品は企業が価値のあるものを作るのではなく、顧客が価値を感じるものを作る
・Price/Cost…企業収益観点ではなく、顧客が負担するという観点で考える
・Place/Convenience…顧客の利便性を考える
・Promotion/Communication…企業が伝えたい情報だけではあく、顧客とのコミュニケーションとして考える
4P/4Cの事例
4P/4Cの成功事例としてわかりやすいのが、サッポロビールの「ホワイトベルグ」です。まずホワイトベルグの4Pから見ていきましょう。
・Product…「深く愛される商品を作ろう」という発想から生まれ、ベルギーのホワイトビールにこだわった製品。「本格的な味わい」「洗練された華やかな香り」というキャッチコピーとともに発売されました。
・Price…海外のビールは比較的高く、500円~600円が相場のところ、ホワイトベルグは第3のビールのため200円以下で販売。
・Place…発売当時はコンビニやスーパーで購入できましたが、現在はネット通販が主。
・Promotion…俳優の『成宮寛貴』を起用したCMや、シールを集めて応募すると新商品の「ゴールドベルグ」「ルビーベルグ」などが当たるプレゼントキャンペーン実施。
では、ホワイトベルグの4Cを見ていきます。
・Customer Value…ベルギーのホワイトビールの味が手軽に楽しめるようになり、ホワイトベルグを飲んでビールの美味しさを知ったり、クラフトビールに興味を持つきっかけとなった。
・Cost…他に同じ価格帯のものがないため、お得にホワイトビールを楽しめる。
・Convenience…現在ネット通販が主流となったため、決して購入しやすい状況ではありません。しかし、ターゲット層である30代はネット通販利用率が高いため、購入しにくいともいえない。
・Communication…サッポロビールはFacebookページやTwitterなど、SNSの活用に積極的に取り組んでおり、ホワイトベルグに関してはTwitterでの拡散も大きな影響力となった。
4Cを取り入れたブランド戦略
ブランディングにおいて、「顧客からどう見られたいか?」はもちろん重要ですが「顧客からどう見られるか?」も忘れてはいけません。あくまでイメージを作り出すのは、顧客側です。企業は、「イメージさせるための製品づくり」を考えていかなければいけません。
そのためには、4Pだけではなく4Cの顧客目線も、とても大事になります。ブランドの一貫性を保つためにも、4Cを反映させたマーケティングミックスを考えていきましょう。
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