ブランド価値が高くなければ選ばれない
ブランド価値とは、ブランド自体が顧客に与える体験、満足感などを指します。ブランド価値を感じてもらえなけば、選ばれる企業にはならないでしょう。そこで、今回はブランド価値が高い企業の特徴と合わせて、ブランド価値を高める方法を解説します。
個性あるブランドである
ブランディングはそもそも、競合他社と差別化するためのものと言えます。そのなかで大事なのは、個性です。たとえば、同じような商品で同じようなデザインでは、ブランドの価値は低いといえます。購入者からすれば「どちらでも良い」という答えになってしまうからです。
しかし、そこで「このブランドにしかない個性」があったらどうでしょうか?その個性が気に入られれば、自分の感性にと合う喜びを感じ、今後も同じブランドの商品を購入するようになります。ブランディングにおいて”無難”は避けるべきです。無難な商品では、数ある商品のなかの一つにしかならず、選ばれるブランドではなくなってしまいます。
機能性・利便性の高いブランドである
ブランド価値が高い商品やサービスは、個性がありながら、機能性や利便性が高く、顧客に喜ばれるものを提供しています。品質の良いものと悪いもの、性能の良いものと悪いものでは、当然良いものが選ばれるでしょう。
主な例で言うならば、ユニクロです。ユニクロは低価格でありながら、高品質・高性能の商品を提供しています。これがユニクロの大きなブランド価値を生んでいると言っても過言ではありません。安いだけの商品には、人は価値を感じにくいです。もしユニクロの商品が安いだけであれば「ユニクロで買った」と言うことを恥じらう方も出てきてしまうのではないでしょうか。
しかしユニクロは「値段が安くても価値は高い」と誰もが認めているのです。まさに「ブランド価値の高い企業」と言えるでしょう。
利便性では、ユーザビリティや利用用途の幅広さが重要になります。こちらの例では、iPhoneを考えてみてください。iPhoneを利用する際に、説明書を読み込み、使用するまでに数時間かかったという方は少ないでしょう。これは、iPhoneのユーザビリティが高いためです。
ユーザビリティが高ければ、当然使う人も多くなり、今後appleの製品を選ぶ方は多くなるでしょう。さらに、iPhoneは利用用途の幅も広いです。通話にメールにインターネット、写真撮影に動画撮影までできます。この利用用途の広さと使いやすさで、iPhoneはブランド価値を高めているのです。
ブランドが一貫している
ブランド価値が高い企業や商品は、ブランドが一貫しています。多くの人は、全体の統一感がなくぶれている企業に魅力を感じません。ブランディングを語る上で欠かせない『デービッド・アーカー』氏の『ブランド論』では、ブランドの一貫性が重要な理由として、以下の3つを挙げていました。
・ブランドが定着するには時間がかかる
・特定のポジションの実質的な所有権をブランドにもたらすことができる
・変化はそれまで築き上げたものを薄めてしまう可能性がある
たとえば、ディズニーが良い例です。ディズニーはテーマパークにホテルにショップ、映画まで制作していますが、すべて一貫してディズニーの世界観を守っています。この一貫しているブランドに、多くの人は魅了されているのです。
反対に失敗例として、ユニクロの野菜事業があります。ユニクロは2020年10月に、株式会社エフアールフーズという子会社を立ち上げ、SKIPというブランドの野菜事業を始めました。サービス自体は良いものでしたが、顧客からは「ユニクロがなぜ野菜?」という意見が多くあり、結果的には失敗してしまったのです。
もちろん多方面に事業を展開させて成功する事例はいくつもありますが、あまりにも軸がぶれすぎてしまうと、顧客からの信頼度を失い、価値が下がってしまいます。
ブランドの透明性
ブランド価値を高める方法として「透明性」も一つです。近年インターネットの普及により、さまざまな情報が溢れるようになりました。しかし、そのなかには誇大広告のようなものも多く、顧客は「どれだけ信頼できるブランドか?」を見るようになっています。
そこで、透明性が重要になってきているのです。透明性の高いブランドとは、顧客に対して素直で正直であることを指します。自社に対して有利なことばかりではなく、不利な事実もあえて隠さないようなブランドが、価値あるブランドとして認められてきているのです。
透明性のあるブランドであることが、顧客からの信頼を生み、それがブランド価値となります。
ブランド価値の高さ=顧客満足度
ブランド価値の高さは、顧客満足度と比例すると言えます。今回解説した「個性」「機能性・利便性の高さ」「一貫性」「透明性」それぞれは、すべて顧客を満足してもらうためのものと言えるでしょう。顧客が喜びや安心を感じられる企業こそ、ブランド価値の高い企業と言えるのではないでしょうか。
リッツ創業者の『セザール・リッツ』は「顧客に求められたら決してノーと言ってはいけない。相手が月を欲しがったとしてもだ」という名言を残しています。ブランディングに対して残した言葉ではありませんが、この言葉に集約されていると言っても過言ではありません。
ブランド価値を高めたいと考えている企業は、企業側の都合ではなく「顧客が何を求めているのか?」という視点からブランディングを見直してみましょう。顧客視点になり考えることが、成功への鍵となるでしょう。
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