日本ブランド経営学会Salon #44『コンテンツ×ブランディング -キャラクターアニメーションのブランディング戦略2022-』

2022年11月17日、オンラインにて日本ブランド経営学会サロン第44回が開催されました。

日本ブランド経営学会は、ブランディングの視点から日本の企業経営を変えていくという志をもった学びの集まりです。なかでも活動を特徴づけるサロン活動には、「ブランディング」という共通の関心事をテーマに社会人が集まり、創発的な取り組みのきっかけの場にもなっています。

まず最初はライトニングトークです。トップバッターは元広告代理店で活躍され、今は「浅草・歌舞伎まち歩き」ガイドとして活動する和田哲郎氏。どの街も歴史や文化がある。それが見えてくれば街の魅力が輝くはず。という信念のもと、街づくりに関わっています。今回は向島での取り組みについて発表いただきました。江戸時代から続く長屋文化をブランド化するという試みです。キャッチフレーズは「東京のふるさとをつくろう」。メインビジュアルやCI化を行い、元広告代理店の経験をフルに活用されています。いつか自分自身が向島に住みたい。そう思える向島をつくる。それが和田氏の今の夢なのだそうです。

次は学生ボランティア団体CHILE 代表の今枝寛人氏。豊田工業大学の4年生。今回の発表テーマは「途上国の子どもたちのためにできること」。さまざまな写真を提示し、「今にもワシに襲われそうな少女」、「毎日ごみの山に通う子どもたち」。彼らを見て何を思いますか？と今枝氏は提示します。CHILE では教育支援を主に行っており、バングラディシュに実際に訪問することもあるそうです。今枝氏はこれらの貧困はエネルギー問題に起因すると指摘します。「見て見ぬ振りをせず、困った人を助けてあげてほしい」というメッセージを投げかけ、発表を終えました。

今日のメイン登壇は、株式会社ファンワークスファウンダー＆代表取締役社長の高山晃氏。テーマは「キャラクターアニメーションのブランディング戦略2022」と題して発表されました。

高山氏はブランドとは？という問いに対して、「信頼です」と答えます。このブランドの構造はキャラクターととても近いと事例を挙げながら言います。

サンリオと共同開発した「アグレッシブ烈子」。民放の番組から火がついて、NETFLIXで番組を持つことになり、世界中に伝播していきました。NETFLIXでは15分の番組を10つくることから始まったそうです。その後、BBCなどで取り上げられるようになり、「現代日本の働く女性」の像として取り上げられていきました。コスプレなどにも広がっています。

アグレッシブ烈子をブランド論的にまとめると、パーソナリティは「20代独身の経理のレッサーパンダ、ストレスがたまると、カラオケでデスメタルを歌う」。ブランドプロミスは「会社のいろんな苦悩を乗り越えながら、ちょっとだけ成長していくOL烈子の等身大アニメ」。と設定しているそうです。

次の事例は「すみっコぐらし」。なんと小学生女子の人気キャラクターに成長しています。小学校高学年では好きなキャラクター堂々1位。また「Yahoo！映画評価ランキング」1位などにも輝いています。

すみっコぐらしをブランド論的にまとめると、パーソナリティは「いろんな生い立ちを持つすみっこを愛するキャラクターたちのほのぼのした世界」。ブランドプロミスは「すみっこに集う多幸感」。とまとめています。すみっこに共感する人が多いという作者の勝利である、と分析しています。タイアップ、商品化、海外展開など、多方面で広がっています。

上記の他「チキップダンサーズ」の事例や手がけている最新事例などを挙げ、その裏側、詳細を語ってくださいました。

このあとはブレイクアウトルームにわかれ、熱い議論が交わされました。

次回のサロンは12月。12/15（木）19:30〜となります。