日本ブランド経営学会Salon #42『HR×ブランディング』

2022年8月18日、オンラインにて日本ブランド経営学会サロン第42回が開催されました。

日本ブランド経営学会は、ブランディングの視点から日本の企業経営を変えていくという志をもった学びの集まりです。なかでも活動を特徴づけるサロン活動には、「ブランディング」という共通の関心事をテーマに社会人が集まり、創発的な取り組みのきっかけの場にもなっています。

まず最初はライトニングトークです。トップバッターはCauz（コーズ）代表の芝哲也氏。武蔵野大学で教授を務め、慶應義塾大学の博士課程に在籍中です。テーマは「カナダ式パーパスブランディング」。ブランディング・エクササイズという方法について、具体的な事例の共有をしてくださいました。

次は株式会社すみか・代表取締役社長の月館海斗氏。大学卒業後、すぐに教師に。しかし、教育に関する課題感を抱き、民間企業を経て、同社を設立し、「CANAU」というサービスをつくります。自分の会社について社会人が中高生にプレゼンテーションを行い、自身が「なぜこの仕事をしているのか」ということに気づき、それがインナーブランディングにつながっていく、ということを行っています。

3番目は津原一樹氏。学生団体EDU TAINMENTs（エデュテイメンツ）の代表を務めている、愛知教育大学の2年生です。「地域コミュニティと学校をむすぶ教育イノベーター」が彼らのビジョン。地域コミュニティと学校を結びつけることが教育イノベーターであると定義。

今日のメイン登壇は　岡山のコォ・マネジメント株式会社・代表取締役の窪田司氏。著書に『「化ける人材」採用の成功戦略』（スタンダーズ）があります。まず窪田氏は「選ばれる」と「選ばれない」は対ではない。と言います。選ばれない確率を下げ、選ばれる確率を上げる。それが大切だと説きます。

もともと窪田氏は大学卒業後、地域金融機関に就職。現場で働く中で、「戦略をいくらこねくり回しても、実行されないと意味がない」と思い、人事部を志願。しかしそこで待っていたのは内定辞退の嵐。当時は同じ金融機関でも、より規模の大きな銀行に人材を奪われていきました。地域活性化するには、地域に選ばれる場所が必要、ということで、そういう場所にコォ・マネジメントがなりたいと放します。

窪田氏は採用と経営に関して密接な関連性があると、図で示します。２つのスパイラルがぐるぐる回るので、「採用の妥協をしてはいけない」と話します。しかし中小企業の場合、負担がかかるのは現場。人材も少ない中で、どうしても妥協して人を採用してしまう構造がある。と指摘します。このスパイラルを崩すには、人材を充足すること。そうすれば、このスパイラルはいい回転を見せていきます。

窪田氏は、１人あたり採用するのに、だいたい100万円かかるのが現在の相場というデータを示します。そしてこれからは人材不足になる予想がすでに出ています。海外でも2030年にはどこも人材不足。だから外国人を雇用するという作戦もこれからは通用しない時代になってきています。しかし、採用は魚釣りと一緒。どこにどんな餌をつけて糸を垂らすか。ただそれだけの単純なことなのに、採用になるとみなさん、わけがわからなくなってしまう、と指摘します。

窪田氏はDゾーンの弱者の採用をやっていきたいと話します。大抵はAゾーンの採用が事例として注目されるけど、地方にある中小企業が同じようにやっても失敗すると断言します。採用成功は必ず「コンセプト」が大事だと説きます。そして誰に、何をどのように訴求するのか。そこをしっかり固めないと、勝てる採用にはならないそうです。また、地方における数々の事例を共有し、窪田理論を補完してくださいました。