大阪で一番オモシロイ会社を目指すトゥモローゲート株式会社。その代表を務める西崎氏がセミナー登壇のために東京に来訪した6月4日の昼、ブランディング界隈に名を馳せるチカイケ秀夫氏による秘密裏の1:1インタビューが行われていた。はたしてチカイケ氏は採用ブランディング事業をなりわいとする西崎氏にどんな問いを投げるのか。そして西崎氏はどんな世界観を語るのか。Twitterや採用にまつわるアレコレを赤裸々に語ったインタビューの全貌を独占公開する。
【インタビュイープロフィール】
西崎 康平
トゥモローゲート株式会社 代表取締役社長。ブラックな企業ブランディングで新卒学生7000人集客。すべての判断基準は「オモシロイかどうか」とする新卒採用に特化した採用ブランディング事業を展開。
【インタビュワープロフィール】
チカイケ 秀夫
PERSONAL VENTURE CAPITAL.LLC 代表。一人一人が自分のアイデンティティを持てる社会の実現を目指す。複数社の社外CBO(最高ブランディング責任者)を担当しながら、「STARTUP」×「BRANDING」領域でのブランディング支援に従事。
経営崩壊の危機を救ったビジョンマップの策定
チカイケ:西崎さんの話をうかがっていると非常に順調そうに聞こえますが、これまで経営してきた中で大きな壁にぶつかったご経験はあるのでしょうか。
西崎:あります(笑)。
創業当初はうまくやれていたのですが、「世の中にきっかけを」とか「世界一変わった会社」とか抽象度の高いミッションビジョンを掲げていたので、社員数が10名を超えたころから伝達に違和感が生まれました。
私が同じメッセージを伝えても、ポジティブに受けとめる社員とネガティブに受けとめる社員が出てきたんです。そのときはこのままいくと会社が崩壊するなあというレベルの危機感を抱きました。
チカイケ:人数の壁ですね!それはどのように打開したのですか。
西崎:ビジョンマップを策定しました。ミッション、ビジョン、バリューはもちろん、社名やコーポレートカラーの由来、中期5か年プランとその達成要件などを1枚の紙にまとめたものです。1泊2日の役員合宿の中で、ほとんど寝ないで作成したのですが、おかげで社員間の認識や方向性のズレを解消できました。
チカイケ:(ビジョンマップを見ながら)オモシロイの定義までしっかり決まっていますね。
西崎:はい。それまでは「トゥモローゲートのオモシロイとは」を尋ねられても、社員ごとに何となくのイメージを答えていたんです。
でもいまは、「ささる(人の心に刺さるか)×あがる(定量的な成果が上がるか)=ひらく(人の心をひらけるか)」がトゥモローゲートのオモシロイだと全員が認識しています。
どういう状態が「ささる」「あがる」なのか、各10項目ずつ定義していて、顧客への企画提案や社内制度を策定する際は5項目以上満たしていなければやらないというルールにしました。
たとえば「ささる」は笑顔がこぼれるか・驚きびっくりさせられているか・今までにないか、「あがる」は利益が上がるか・質が上がるか・スピードが上がるか、などです。
チカイケ:わかりやすい。これだけ作りこまれていたら、社員も自分で判断して動けそうです。
西崎:はい、これは本当に作成して良かったなと感じています。ビジョンマップを作成したことで、社員が明確な判断軸を持てるようになって自走できるようになりました。いまは私自身も会社の未来を考える時間をきちんととれるようになって、どんどん新しいことを生み出せているなという実感があります。
良い会社を作るからこそ良い人が採れる世界に
チカイケ:トゥモローゲートさんは「採用の常識をぶっ壊す」も掲げていらっしゃいますが、ここは具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか。
西崎:いろんなことをオープンにしました。面接で人物をしっかり見ているので、履歴書を不要にしたり、事前に勉強してスキルを高めてきてくれたら良いなと考えて、面接官の評価項目を記載した面接シートを事前配布したりしています。
あとは採用説明会を誰でも参加できるようにしたので、新卒・中途だけでなく、高校生や大学1回生、他社の人事担当者まで来るようになりました(笑)。
そこでお互いがマッチしたら、高校生でも内定を出すような本当の意味での通年採用もやっています。
チカイケ:徹底的にぶっ壊していく感じが素晴らしいですね。これから取り組んでいきたいことはありますか。
西崎:個人的には、今後「採用」はどれだけ小学生、中学生、高校生くらいの若いうちから、会社のファンになってもらえるかが重要になると考えています。
なので、そうした層との接点をどんどん増やしていきたいです。
ただ、将来的な採用の文脈だけではなくて、トゥモローゲートを通じて仕事ってこんなに楽しいものだよ、ワクワクするものだよというのを伝えていくことで、若い人たちの働くことへの意識そのものを変えていきたいなとも思っています。
チカイケ:前に小学生をオフィスに呼びたいと考えていると仰っていましたよね。
高校生をオフィスに招いたイベントもTwitterで拝見しました!そんな西崎さんから見て、既存の枠組みはもう通用しないと考えて良いのでしょうか。
西崎:私は、既存の枠組みもこれまでの採用市場においては十分に機能してきたし、貢献してきたと考えています。
一方で企業に少し寄り過ぎていた気がしていて、これからは「お金を出したから人が採れるではなく、良い会社を作ったら人が採れる」という世界観を、ブランディングを通じて作っていけたらと考えています。
チカイケ:ありがとうございます。本質的でワクワクしますね!最後に、どうしたらトゥモローゲートさんのような強力なブランディングができると考えますか。何かブランディングをする上で意識していることがあれば教えてください。
西崎:「言っていることとやっていることを一貫し続けていくこと」に尽きます。それができないなら、最初から言わない方が良いです。
社員のテンションも続かないですし、ファンも離れていきます。
Twitterであれだけ「大阪で1番オモシロイ会社にする」と発信していて、私が何も行動しなかったら逆に恥ずかしいじゃないですか。
私がTwitterを勧める理由もそこにあって、世の中の経営者の方にはもっともっと自分のビジョンを発信してほしい・行動を宣言してほしいなと思っています。
チカイケ:本日はありがとうございました!
取材の後日、6月末に新オフィスへ移転したトゥモローゲート株式会社。オフィス移転に際して、Twitterのフォロワーから自発的なクラウドファンディングが企画され、78名の有志フォロワーから移転祝いが贈られた。また、6月に行われた「ブラックな社員選抜総選挙」もフォロワーによるPR動画の作成をはじめとする自発的な応援アクションが起こるなど、Twitterを大いに賑わせ、その知名度を押し上げた。こうしたTwitter活用によりファンを作り続けるトゥモローゲートに、私たちが学ぶところは多いのではないだろうか。10年目を迎え、より勢いを増すトゥモローゲートの今後の動向にも注目したい。
(執筆 野澤 麿友子)
カメラマン:石井 誠也
スタッフ:田中 勇
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