経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

企業による「擬人化」は、ブランディングに効果的なのか? ~記憶のメカニズムによる考察~

1:企業の「顔」が愛される時代へ

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周囲を見ると、数多くの「キャラクター」が市場を盛り上げていますね。その中でも、最近特に顕著なのが「企業キャラクター」の台頭ではないでしょうか。

例えば、青いコーポレートカラーでおなじみのローソンは、2010年4月1日にツイッター上で女の子店員のキャラクター「あきこちゃん」を登場させた事例。

「ローソンでアルバイトする20歳の大学生」という設定で作られたあきこちゃんは、ローソンの情報をフォロワーに伝える存在ですが、実は初登場した時は後ろ姿だけだったんです。その衝撃的な初登場は、一体どんなキャラなんだろうと、人々の想像力を掻き立てました。しかも、その5日後にはなんと、「前から見たあきこちゃんのイラスト」を一般公募したのです。そしてあきこちゃんの声も一般公募をするなど、まさに様々な方面のユーザーを巻き込む形で、一気に知名度も上げるだけでなく、親近感の醸成にも成功したのです。

もう一つの例として、キャラメルコーンでおなじみの「東ハト」にもスポットを当ててみようと思います。キャラメルコーンは昭和46年から販売されている、日本の歴史的なお菓子ではありますが、実かこのパッケージがリニューアルされたのが2003年でした。

このリニューアルのテーマは「記憶に残る」商品。その結果、まるで人のような、あの可愛らしいキャラクターのパッケージが生まれたのです。

さて、ここで1つ疑問が生まれます。

このような「擬人化」は、本当に企業のブランディングのために必要なことなのでしょうか。

必要であれば、なぜなのでしょうか。

 

 2:擬人化大国、ニッポンが教えてくれる「イメージしやすさ」の価値

まず、企業が自社、もしくは自社の製品を「人」に例えることについて考えてみましょう。

もともと日本は鳥獣戯画から始まり、パンを擬人化した国民的大ヒットコンテンツである「アンパンマン」、刀を擬人化し、2.5次元ミュージカルも大ヒットしただけでなく紅白出場も記憶に新しい「刀剣乱舞」、コンビニもコラボ!アニメも話題になった「艦これ」など、様々な擬人化コンテンツが盛り上がる、擬人化大国です。

そもそも、なぜ「擬人化」にしたがるのでしょうか。

それは、そのままだとなかなか理解できないことが、私たちと同じ存在にすることで、一気に理解が深まるからです。

その例としてトヨタの「プリウスの部品、擬人化プロジェクト」をご紹介します。自動車のエンジンは、仕事や趣味で身近に感じている人たちにとってはイメージが浮かびやすいですが、それ以外の人にとっては、正直「ただの部品」「動かないと困る」くらいの認識しかないのでは……と思います。

そこで、この擬人化。なかなか覚えられない複雑な部品の名前も「全て人」に例えてしまったのです。

例えば、「2ZR-FXEエンジン」と書くだけと、その横に「さあ、私たちと走ろう」と横に台詞が書いてあるのとでは、どちらがその部品の姿がイメージしやすいですか?同じように、「フロントビュー」には「正々堂々、向かっていく」、「ハイブリッドバッテリー」には「小さいけど、強いんだからね」というような台詞が記載されていることで、あっという間に役割が脳内で想像しやすくなりませんか?

まさにこの「イメージをしやすくする」仕組みこそ、擬人化、そしてキャラクター化の強みなのです。

 

3:脳に焼き付くほどの「イメージしやすさ」という強み

脳

ここで、キャラクターを企業ブランディングに使う事のメリットについて、改めて考えていきたいと思います。ブランドという言葉の由来は、burned=焼印から来ています。

肌の再生力の限界を利用し、生涯消すことができない印をつける行為ですが、まさにブランドは「生涯忘れることができない程、インパクトを与える」もの、もしくは行為であると言えます。そしてブランディングはブランドの現在分詞、つまり「今、ちょうどブランドをしている」という意味でもあるのです。

では、生涯忘れることができないインパクトを誰かに与えるのにはどうしたらいいか。

ヒントは「感情と記憶の結びつき」にあります。

人の記憶を司るのは「海馬」と呼ばれる脳の部位ですが、実はもう1つ重要な部位があると言われています。

それが「偏桃体」という、感情を生み出す働きをしている部位。ここが活発化すると、長く記憶を補完しやすくなるのです。

例えば、ただ歴史の年号を丸暗記するよりは「あ、この年にはあの歴史人物が死んだのか、可哀想だな」と、ドラマのようにイメージをするだけで、一気に頭に入ってきませんか?

もしくは、ただ字面で読んでいるだけでは全く覚えられなかったのに、同じシーンを映画やドラマで見て、感情移入をした瞬間に記憶として定着したこともありませんか?

まさにこれが、偏桃体の反応……つまりは感情の力なのです。

 

4:だから、企業ブランディングに擬人化がおすすめ!

擬人化をすることで、人々は製品や商品について「イメージ」を持ちやすくなります。

だからこそ「面白い」「可愛い」という感情が、性質をイメージすることが難しかった曖昧な概念であった物に比べると湧き上がりやすいのです。

その結果、長期記憶として情報が残りやすくなる……つまり、生涯にわたって強い印象を与えることができるということでもあるのです。

まさにこれが「擬人化」がブランディングに効果的であるという証明なのです。

「うちの企業もブランディングをしないといけないな……」と今本気で焦っているのでしたら、企業もしくは企業を代表する商品の擬人化をし、ユーザーに「感情」「親近感」を向けてもらうことも、考えてみませんか?

 

(参考)

PRESIDENT Online|ローソンの「あきこちゃん」フォロワー1500万人の秘密( https://president.jp/articles/-/11886 )

MarkeZine|トヨタがエンジンを擬人化? 若年層へ向けた施策Twitter活用施策「プリガー」とは(https://markezine.jp/article/detail/24574

山下和彦著(2010),『成功するキャラクターデザインの法則 (メッセージはキャラクターに託せ) 』,パイインターナショナル.

和泉杏咲

 
和泉 杏咲

早稲田大学教育学部卒。学生時代に脳科学に興味を持ち、幼児教育と脳科学の関係性を研究。大学卒業後はワーキングホリデーを利用し、カナダ・トロントにて映画のエキストラや現地の子供向け家庭教師、すし職人など様々な人生修行を積む。帰国後、幼児教育教室での翻訳や海外校とのリレーションや小学生向けの教材作成のキャリアを経て、大手人材会社へ入社。培ったライティング力で、応募0の求人を数多く決定に導いたスカウト制作の腕を買われ、スカウトライティング講師も務める。小説家志望として、つねにキャラクター作りマラソンでペルソナ力を磨き続けている。

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