経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

きっかけは、妻の接骨院のサイトが、よくわからなかったことでした。

【スタートアップのブランド論対談<ペライチ>第1回】

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このネット社会において、企業だけでなく、個人でホームページを持っている人も少なくない。しかしその中で、ホームページを作りたくてもパソコンが苦手で作れないという人もたくさんいる。そんな人のために、誰でも簡単に1ページのホームページを作れるサービスがある。それが「ペライチ」。サービスを運営するのは、株式会社ペライチの創業者である橋田一秀氏(写真左)、山下翔一氏(写真右から2人目)、香月雄介氏(写真左から2人目)の3名。事業の立ち上げのきっかけやペライチのユーザーが広がることによって、世の中をどうしていきたいのかなどについて、パーソナル・ベンチャー・キャピタル代表で、BRAND THINKINGでも連載を持つチカイケ氏が迫った。

 

文:BRAND THINKING編集部 写真:落合陽城

 

よくある中小企業のホームページになっていた。

チカイケ:最初に、会社を立ち上げた経緯を教えて下さい。

橋田:2012年くらいからサービスを作る構想があったのですが、僕はもともとwebのエンジニアでした。その当時から、種になるものをいろいろ考えていました。その中で、ペライチのサービスアイデアが浮かんだんです。ただ、事業を行うにあたって、一緒に起業する仲間がいたほうがいいなと思っていました。じゃあ誰と一緒にやるかなと考えたときに、この二人(山下・香月)が思い浮かんで、声をかけていったというかんじです。

チカイケ:アイデアを思いついたきっかけは何だったのでしょうか?

橋田:当時、僕の嫁の友達が整体院を作るという話になって、その方がWEBサイトを作ったから見てほしいという話になりました。そのサイトをはじめて見たときに、正直、何を伝えたいのかよくわからないサイトだなという印象でした。整体院のページをつくるべきなのに、どこかの中小企業のようなページになっていたんです。これは問題があるなと思い、それを解決できるようなサービスを作れたらいいなと思ったのがきっかけです。

 

スキルだけでつながっているのは危険。

チカイケ:香月さんはどういった経緯で声をかけられたんですか?

香月:僕はもともと自分で起業したいと思っていました。自分の作ったプロダクトで起業しようと思い、エンジニアとしてフリーランスでやっていました。エンジニアの仕事をしつつアイデアを考えていたんですが、その中で橋田から声をかけられました。最初はいろんな勉強会に一緒にいったり、仕事と関係なく、友達として遊んだりしているうちに、気づいたらいろいろ手伝わされていました(笑)。もともと自分が作ったプロダクトを利用して、人のためになる会社を作りたいなと思っていたところに、ちょうど橋田から声をかけられ、自分のやりたいことと合致していたため、ジョインしました。

チカイケ:山下さんはなぜジョインしようと思ったのでしょう?

山下:元々僕は起業しようという考えは頭にはありませんでした。ただ、祖父の代からうちは経営者家系で、父親も経営者でした。なので将来父親の会社を継ぐという考えもありましたが、僕自身もまだまだ苦労が足りないなと思っていました。その状態で父親の会社に入るのはどうなのかと。橋田とは、彼の結婚式の二次会の幹事をやったり、一緒にフェスに行ったりして、元々仲が良い友人でした。遊び友達だったので、意見が分かれて喧嘩したとしても、信頼関係があるからすぐに仲直りします。なので橋田から誘われたときも、こいつとだったら一緒にできるなと思いました。

チカイケ:起業セオリー的には、友人と一緒に会社を起こすことはよくないと言われがちですが、そのあたりはどのようにお考えですか?

橋田:友人と会社を起こして失敗する理由としては「価値観の相違」によるところが大きいと思います。先程申し上げたように、山下には以前から、結婚式の二次会の幹事をやってもらったり、仕事ではなくてもいっしょにプロジェクトをやったり、香月には会社を起こす前から、ペライチを手伝ってもらったりしていたので、そういった活動の中から「価値観」は共有できていました。
逆に全く知り合いとかではなく、スキルだけで繋がっていて、価値観でマッチしていないことのほうが、起業する上で危険だと思っています。

46D7116(聴き手のチカイケ氏)

競合は漠然とした不安。

チカイケ:山下さんはジョインする前はどのようなことをされていたのでしょうか?

山下:私は広告代理店にて営業・プロデューサーとして勤めていて、企業のポジショニングからマーケティング、PR、広告の運用、それに必要なクリエイティブ制作のディレクションとか全部一人でやっていました。前職時代に私が担当していたクライアントは大企業がほとんどでした。当時、私がWEB制作において感じてた題感としては、「なんで売上があがるかわからないWEBページに何百万円も投資するんだろう」とずっと思っていました。ただ在るだけのホームページやランニングページに価値なんかないと思っていて、本質的なところは、本当に価値を生んでいる人たちが、その価値を価値だと感じてくれる人たちときちんと繋がることだとずっと思っていました。その中で、僕は当時、周りにWEBに明るい人だと思われていたので、お金のない人たちから、「山下さん、10万円でWEBサイトを作ってくれませんか?」と、安価でサイトを作ってほしいという依頼がよくきていました。僕はデザイナーでもないし、コーディングもできないので自分ではページがつくれず、かといってつくれる人に「10万円でお願い」とはいえずその予算でのページ制作をお断りしていました。しかし、これは間違っているなと感じていました。

チカイケ:何が間違っていると思われたのでしょう?

山下:大企業は良いページを作って広告を打っても、認知度が高いから自ずと知らない小さな会社や個人よりも大企業の広告の方がブランド選択率が高いじゃないですか。そうすると新規の顧客を安く獲得でき、ファンにする仕組みもあるため一人あたりの顧客が多くの利益を生む。そしてその利益をまた広告に投入し顧客が拡大していくという良いスパイラルを描ける。一方でお金を持っていないというだけで、武器がない人たちがいることも事実です。しかもそういう人たちが日本には圧倒的に多い。そういった課題感を感じていたときに、はっしーの考えるWEBサービスの話を聞いたときは、とても良いサービスだなと思いました。しかし、単純にページを作るだけだと価値がありません。ページを作ることはあくまで手段で、僕らが目指すべきところは、中小、零細企業や、ビジネスをしている人たちが、長期的に成長できるプラットフォームを作りたいんです。それは若い方々はもちろん、地方に住んでいる年配の方々まで全ての人たちが対象です。スタートさせてからは、いろんな人たちの話を聞きました。僕の周りにいる人たちだけでなく、地方の人たちにも話を聞いていく中で、地方に対して見えてきた課題が2つありました。

1つはまず「導入ハードルの高さ」です。このハードルというのはコストや簡単さのことです。もう1つの課題は「信頼」です。地方に行って思ったのは、僕らは1億総ネット利活用時代というのを標榜していますが、家庭にインターネットが普及し始めて25年も経つのに、地方では自分のビジネスにインターネットを活用できている人は全体の10%もいないと感じていました。これっておかしいなとずっと思っていて、分析してみました。そうするとあることが判明しました。意外と、今までのインターネット企業って1つ目の課題である導入ハードルを低くすることはやっているんですよ。無料にしたり、操作を簡単にしたりして。でもこの2つ目の課題である「信頼」の部分ができていません。地方にいって思ったことは、そもそもペライチがボタン1つでページができるサービスになったとしても、受け入れてもらえないのではないかと思いました。なぜなら「信頼」されていないからです。僕らの競合としてあげられるサービスは、いくつかあってほとんどが海外のサービスなんですけど、日本のアカウント数は約100万くらいなんです。なぜそれだけしか利用者がいないのかというと、利用が難しいとか簡単とか、お金がかかる、かからないということよりも、むしろネット自体がよくわからない、苦手、不安というような、漠然とした不安みたいなものが、実は僕らの競合だったんですね。これを解消しない限り、1億総ネット利活用時代は実現できないということがわかりました。

 

(つづく)

 

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代表取締役 橋田一秀(写真中央)
東京理科大学卒業後、株式会社NTTデータに就職。1年半で退職し、株式会社うるるでほぼ未経験ながらエンジニアとして就職。4年3ヶ月の勤務後、山下氏、香月氏を誘い、株式会社ペライチを創業。

取締役 山下翔一(写真左)
広島大学卒業後、株式会社ライツアパートメントにて、プロデューサー、WEBチームリーダーを歴任。中小企業から上場会社まで30社以上の経営戦略、マーケティング、PRを請け負う。株式会社ペライチでは、長期的なミッションやビジョンの言語化、経営戦略、マーケティング・PR戦略、サポーターコミュニティやセミナー周り運営、法人支援部および省庁や企業や自治体等とのアライアンス等を担当。

取締役 香月雄介(写真右)
中央大学を卒業後、新卒で制作会社にiOSエンジニアとして勤務。その後1年ほどフリーランスを経験し、エレビスタ株式会社の設計・開発・運用を担当。
株式会社ペライチでは、主にプロダクトの開発を担当。

chikaike

 
チカイケ 秀夫

パーソナル・ベンチャー・キャピタル代表。企業ブランディングパートナー/社外CBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)。一部上場IT企業でベンチャー立ち上げ、グロースハック、企業理念策定や代表直下でグループでのさまざまなプロジェクトを担当。そこでの『ブランディング』を通して、現在は、個人/スタートアップ/ベンチャーへの支援を行う。

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