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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

やってみる、参加するが、地域活性化、さらには幸せにつながる。#2

山梨学院大学現代ビジネス学部教授 今井久
【地域活性化の課題と実践 第2回】(全3回)

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経済学と医科学の博士号に、MBA。地域経済を対象に研究を行い、地域活性化への取り組みや提言など、ユニークな活動を行う今井氏。山梨県には、県庁所在地である甲府のドーナツ化現象、近隣市町村の過疎化、人口減など、全国の多くの市町村が抱えている問題が潜んでいる。現場での徹底したリサーチや地域活性化の取り組みで培った経験をもとに、今井氏に地域活性化の課題や解決策などを聴いた。

 

世代が代われば変わり始める。

——–少しずつ山梨県や甲府市内も盛り上がってきたというお話でしたが、依然として、中心街のシャッター街は減りません。

シャッター街になってしまうのは、オーナーの高齢化の問題にも関わっていると考えています。例えば、少し前まで甲府市の中心街で「第二土曜市+マルシェ」というイベントをやっていました。商店街のど真ん中で、ビールやワインの出店を出したり、休憩スペースをつくったりして、来場者を迎えます。開催すると、かなり人が集まるんです。でも、商店街のオーナーたちはなかなか協力してくれません。みんなで中心街を活性化しようという意欲が、年齢とともに薄れていくのではと考えています。また、「他の場所でもお店をやっているから別にいいや」とか。おそらくどの地方でも同じようなことが原因になっているのではないでしょうか。しかし、例えば清里は、バブル期の賑わいが一気に冷め、しばらくは荒廃したままになっていましたが、最近、オーナーの代替わりが進んだことで、意識の高い若い世代が自分たちなりのやりかたで好きなことをやるようになりました。だから今は少し駅前が変わってきたんですよ。

 

とにかくやってみる。が人を動かす。

——–地方活性化が進む要因は何なのでしょうか。

やっぱり積極的にアクションを起こしてみることでしょうね。誰でもいいんです。同じ志を持つ仲間と一緒にとにかくやってみる。「甲府ぐるめ横丁」だって、最初はみんな懐疑的でした。古いビルでしたし、最盛期は数十件あったお店も、改装当時は数件のみ。人通りも少なく、リノベーションしてフードコートにしただけで本当に変わるのか?という声は確実にありました。でも、ふたを開けたら大成功です。それはプロジェクトを牽引した青木はるひ氏の巻き込み力ですよね。周りでいろいろ言っていた人も、実践で見せて結果を出せば何も言えなくなります。そうやって、やってみて、結果を出してまたバージョンアップしていく、のがシンプルだけど一番力を持つんじゃないかと思います。

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地域の取り組みに参加する人ほど幸せを感じている。

——–地域活性の声に協力してみるというのは、幸せを感じるという意味でも重要そうですね。

地域にあるソーシャル・キャピタルが健康に、更には幸せにどう影響を及ぼすか、ということに関しては、さまざまな研究があります。例えば、地域活性化のためのプロジェクトへの参加や、地域での運動会、レクリエーションなど、そういう取り組みに参加する人ほど、健康状態が維持されやすいという調査結果があります。2015年、山梨県は健康寿命で1位になりました。2003年の調査においても、山梨県の女性は健康寿命で1位になっています。それに関して調査した研究があって、その特徴の1つに山梨県特有の「無尽」が影響しているということが挙げられました。無尽は、定期的に集まる「飲み会」として、コミュニケーションや情報交換を促進する側面があります。研究では、それらに参加し、楽しいと感じる人ほど健康だ、という結論でした。また、男性は一人で趣味をする傾向が強いのに対して、女性は社交的です。もしかしたら、女性の健康寿命が長いのも、そのあたりが要因になっている面もあるかもしれません。

 

(第3回へつづく)

 

聴き手・構成:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:大堀力

今井久

山梨学院大学 現代ビジネス学部 学部長 教授
今井 久

大学院社会科学研究科 教授。東京理科大学卒業後、メーカへ就職。テネシー大学でMBA取得。メンフィス大学で博士号(経済学)取得。その後、山梨学院大学において教鞭をとりながら、山梨大学大学院人間環境医工学専攻にて博士号(医科学)取得。経済学と社会疫学の見地から、地域活性化についてさまざまな市町村の取り組みに関わる。

山梨学院大学

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