経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説|ブランド シンキング

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経営に正しいブランディングを。わかりやすく解説

一番早く、こだわりを持って、粘り強く取り組め。

早稲田大学ビジネススクール教授

【永井 猛のブランドづくりの近道 第5回】

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ブランド戦略に関する注目の高まりや競争が激化するにつれ、ブランド戦略はどの企業にとっても無視できず、例えばCMOと同位置でCBOを置くなど、ブランドをマーケティングと並ぶ経営の上位概念として捉える動きも増えている。一部の大手企業だけでなく、ブランド戦略をあらゆる企業が導入していくために留意すべき点は何か。学術的なアプローチだけでなく、あらゆる企業のコンサルティングなども手がけてきた永井猛教授に聴いた。

 

誰よりも早くやれ!

——新しいブランドを立ち上げたり、新規ビジネスをする場合、スピード感を持ってファンを獲得するにはどうすればいいのでしょうか。

やっぱり一番早くやるということです。これは経営者しかできないし、中小企業ほど、素早く決断してやるということです。経営者がどうのこうのと、躊躇しているよりも、「こういうことをやってみたい」という社員の声を信じてみるのもひとつです。よく言われる、富士山の例と一緒です。「日本で一番高い山は?」と言われれば誰でも答えられるのですが「二番目は?」と言われるとほとんどの人は答えられなくなる。標高的にはたいした違いはない。でも一気に認知度が低くなります。ターゲットを定める時は、「富と知性のマーケティング戦略」的には、王道は日本のオピニオンリーダー層と重なる「ソフィスティケイティット・ゾーン」(大人度が高く、センスが感じられ知的洗練度が高い)への商品投入を狙うべきですが、知られていないブランドだと、浸透まで時間がかかると思うので、「ニュージェネリック・ゾーン」(基本機能や品質面ではブランド品と大差がなく安価なソーン)を狙うと話題にもなりやすいと思います。「ニュージェネリック」に属する人は、「わけあって高い・安い」という「こだわり」や「ストーリー」を重視するので、企業側も伝えやすいと思います。

 

3年で黒字に、なんて言っているから育たない。

——新規事業や新規ブランドを立ち上げた場合、うまくいくばかりではありません。撤退ラインの見極めはとても難しい問題だと思います。

一般的に新規事業は「3年で黒字」が一定のルールのように言われることがありますが、こんなことをルールで決めているから、本業を超えるような事業が生み出せないのです。特に大企業に多いと思います。大企業は本業自体が成長しているので、それを保管できるビジネスが生まれればいいのです。このルールに大きな意味はないように思います。正直、「他がそうしているから」程度の理由であることも多いのです。もし、本気で本業を越えようと思ったら、相当の初期投資も必要でしょうし、3年かかっても黒字にならないかもしれません。少なくとも5年から10年のスパンで評価していかないと、どこで事業が成長するのかわからないと思います。例えば、サントリーのビール事業は約30年も赤字だったわけです。でもチャンスを探り続けた。そう考えると、同族系や非上場の成長企業のほうが、株主や金融機関にいろいろ言われなくてすみますし、じっくり取り組めるぶん、本業を超える事業(ブランド)を生み出すチャンスがあると思います。

 

ブランドは、少なく生んで、丈夫に育てろ。

——本来は大企業よりも、中小企業が魅力的なブランドを生み出すチャンスがあるということですね。

例えば飲料などは、いわゆる「せんみつ」と言って、1000種類のブランドを出して、3つ当たるかどうか、と言われる世界。しかし、そういうことをやっているから、数を出すことが目的になってしまい、一つひとつのブランドの「こだわり」を考えられず、だから訴求もできず、消えていくブランドが積み上がっていってしまうのです。どんなブランドにも本来は「こだわり」があるはずだし、そもそも「こだわり」を持ってブランドの開発に当たらなければなりません。そこで培われた「ストーリー」に人は共感し、ファンができていくのです。だから「とにかくたくさん開発しろ」というのは効率が悪すぎる。特に中小企業だと、ヒト、モノ、時間そして、お金がもったいない。こだわってブランドを開発して、それを丁寧に丈夫に育てたほうが、やがて大きく育ちます。現代の子育てと一緒です。ブランド戦略は、しっかり取り組めば、成功する可能性がある。そういう意味では、見えない保険や宝くじがついていると思ったほうがいい。経営者自身が、マーケティングやブランドについてしっかり学んで、舵を取っていくべきことだと思います。

 

(おわり)

 

聴き手・文:BRAND THINKIKNG編集部 撮影:落合陽城

 

 

第4回「グローバルで見れば、ターゲットを絞っていない企業なんてない。

第3回「日本企業のマーケティングが近視眼ではいられなくなる日がやってくる。

第2回「商品にはライフサイクルがある。理念にはない。

第1回「風を見極めろ。やらなければ一生、ブランドはできない。

 

永井猛

 
永井 猛

早稲田大学大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール)教授。早稲田大学第一商学部卒業、同大学大学院商学研究科修士修了。同大学大学院商学研究科後期博士課程単位取得退学。1980年にビジネススクールの前身となる、早稲田大学システム科学研究所に着任以来、一貫して社会人教育に携わる。企業へのアドバイザー、コンサルティングも豊富に手がける。専門はマーケティング。主な著書に「富と知性のマーケティング戦略」五弦舎など。

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