人が辞める理由は、表面的ではない深い部分にある。

人が辞める理由は、給与や休日だけではありません。もちろん待遇や人間関係は退職のきっかけになりますが、それだけを見ていると本当の原因を見誤ります。
人は、会社との関係性に意味を感じられなくなったときに離れていきます。
・自分の仕事が何につながっているのか
・この会社で働く理由があるのか
・ここにいて自分は力を発揮できるのか。
この記事では、離職を単なる人事課題ではなく、企業と社員、顧客、求職者がつながる「共鳴経済圏」の視点から整理します。
人は条件だけで辞めるのではなく、共鳴できなくなって辞める
退職理由として給与、休日、人間関係、仕事内容はよく挙げられます。これらはたしかに退職のきっかけになります。ただし、それだけが本質ではありません。
給与や休日は、不満を減らす要素です。整っていないと不満になりますが、整っているからといって働く意味が生まれるわけではありません。人が前向きに働き続けるには、以下の要素が必要です。
・自分の仕事に納得できること
・会社の考え方に共感できること
・・自分の力が何かに届いていると感じられること
つまり人は、条件だけで辞めるのではありません。会社との共鳴が弱くなり、ここで働く理由を感じられなくなったときに辞めていきます。
共鳴経済圏とは、関わる人が同じ価値に向かって動く状態
共鳴経済圏とは、企業の理念や価値観に対して、社員、顧客、求職者、外部パートナーが共鳴し、同じ方向に力が流れている状態です。
これまで企業活動は、顧客向けのブランディング、社員向けのインナーブランディング、求職者向けの採用ブランディングのように分けて考えられてきました。しかし実際には、これらはすべてつながっています。
社員が会社の価値に共鳴していなければ、顧客にその価値は届きにくくなります。顧客に届く価値が弱ければ、企業の評判も育ちません。評判が育たなければ、求職者にも選ばれにくくなります。人が辞める問題は、単に社内だけの問題ではありません。
共鳴経済については、以下の記事が参考になります。
社員が共鳴していない会社は、顧客にも価値を届けきれない
企業が顧客に届けたい価値は、最終的には社員を通して届けられます。どれだけ良い理念やサービスを掲げても、現場で働く人が納得していなければ、顧客体験にはズレが出ます。
たとえば、会社は「お客様に寄り添う」と言っているのに、現場では効率だけが求められている。会社は「挑戦を大切にする」と言っているのに、失敗を責める文化がある。こうしたズレがあると、社員は理念を信じられなくなります。その状態で顧客に良い体験を届け続けることは難しくなります。
社員の共鳴が失われると、顧客への提供価値も弱くなり、結果としてブランドも採用力も下がっていきます。
離職は、共鳴経済圏から人が離れているサイン

人が辞めるという現象は、単なる欠員ではありません。共鳴経済圏から人が離れているサインです。
社員が辞めると、現場の力が落ちます。顧客への提供価値も不安定になります。残った社員の負担も増え、さらに離職が起きやすくなります。その結果、採用を強化しようとしても、会社の中に共鳴がなければ、求職者にも魅力が伝わりません。
このように、離職は採用、顧客満足、ブランド評価までつながります。だからこそ、離職を単なる人員補充の問題として扱うと、根本的な解決になりません。
人が辞めにくい会社は、仕事をライスワークで終わらせない
人が辞めにくい会社は、仕事を単なる生活の手段で終わらせません。もちろん生活のために働くことは自然です。しかし、それだけになると、会社との結びつきは弱くなります。
仕事がライスワークになると、条件が少し良い会社へ移りやすくなります。一方で、自分の仕事が誰かの役に立っている、自分の価値観と会社の方向性が重なっていると感じられると、仕事はライフワークに近づきます。
共鳴経済圏では、社員が会社の価値を理解し、自分の仕事と結びつけられる状態を目指します。そこで働く意味が育つからこそ、人は簡単に離れにくくなるのです。
離職を防ぐには、共鳴を育てる経営が必要になる
離職を防ぐには、給与や制度を整えるだけでは足りません。会社の理念や価値観が、日々の仕事や評価、接客、採用にまでつながっている必要があります。
そのためには、まず会社が何を大切にしているのかを言語化することが必要です。次に、それを社員に伝えるだけでなく、現場の判断や行動に落とし込む必要があります。そして、社員がその価値を顧客に届けられる状態をつくることが求められます。
共鳴は、一度伝えれば終わるものではありません。働く中で育てていくものです。離職対策とは、退職を止める施策ではなく、社員がここで働く理由を感じ続けられる状態をつくることです。
辞めににくい組織の本質は「共鳴」にある
人が辞める理由は、給与や休日だけではありません。会社との共鳴が弱くなり、働く意味や納得感を失ったとき、人は離れていきます。
そして離職は、社内だけの問題ではありません。社員の共鳴が弱くなると、顧客への価値提供も弱くなり、ブランドや採用にも影響します。
だからこそ、これからの離職対策は共鳴経済圏の視点で考える必要があります。企業と社員、顧客、求職者が同じ価値に向かってつながる状態をつくること。そこに、人が辞めにくい組織の本質があります。














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